学生寮




学生寮(がくせいりょう、英語: dormitory)とは、学校に学ぶ生徒・学生・児童を受け入れるための寮。




目次






  • 1 日本の学生寮


    • 1.1 大学


    • 1.2 中等教育


    • 1.3 篤志家による設置


    • 1.4 全寮制


    • 1.5 学生寮の一覧


      • 1.5.1 大学


      • 1.5.2 高等専門学校


      • 1.5.3 中学校・高等学校


      • 1.5.4 各種学校


      • 1.5.5 文部科学省所管外






  • 2 アメリカの学生寮


    • 2.1 大学




  • 3 学生寮を扱った作品


  • 4 脚注


  • 5 関連項目





日本の学生寮


中学校・高等学校・高等専門学校・大学などの生徒・学生および児童の住む寮である。寄宿舎と呼ばれることもあり、特に特別支援学校などで用いられている(こちらを参照)。本来は学校との通学距離が長かったり、交通が不便などで通学困難な学生・生徒・児童のために作られたものである。また、学校や地域によっては全寮制として、これらの理由とは無関係に寮での生活を義務づけることもある。


学生向けの物件であるため、家賃は一般的なアパートより安めに設定されている所が多い。部屋以外の設備(風呂やトイレなど)は共同使用の場合が多く、基本的に相部屋である(特に下級生)。


学校や寮、地域によっては外出や門限を厳しく制限されたり、寮での日課(特に食事や入浴、就寝時間)が規則で決められている所が多く、私生活を束縛される理由から、深夜早朝のアルバイトが不可能またはそれに近い状態であったりする。近年は減少傾向にあるが、朝夕の食事が提供される所もある。


以下この項では、文部科学省所管外の教育訓練施設(省庁大学校など)が設置するものについても取り扱うこととする。



大学


戦前の旧制高等学校では、旧制高校といえば寮生活を思い浮かべる人が多いと言われるほど寮と関係が深く、寮歌が盛んに歌われていた。


大学寮はさまざまな学生の交流の場ともなっており、ホールやラウンジなど、ちょっとした集まりが出来る共有スペースがあり、ユースホステルなどと同じく有料で外部学生が宿泊出来ることもある。東大駒場寮などを中心に学生運動の拠点ともなり、学生寮自治会の連合組織として「全日本学生寮自治会連合」(全寮連)も結成されていた(2006年3月解散)。


筑波大学の学生宿舎は、海外からの研究者なども多く、家族で住む事のできる部屋もあり、開学当時はそれが話題にもなった。ヨーロッパや北米の大学では、男女が同室に一緒に住む事もできる寮や、同一フロアに男女が混在して生活する寮も珍しくはない。


もともとは、キリスト教の修道院の中の修道士の居住空間から着想を得ているものらしい[要出典]。dormitory自体は、本来の意味は「共同の寝室」。ドイツ語やスラブ語で仲間、友達をいうder Kameradeも「方形の個室(Kamera)で生活を共にした友達」からくる。



中等教育


一部の中高一貫校にも寮があり、遠隔地からの生徒受け入れが可能なため、都会から離れている立地の学校でも都会の学校と同じ土俵で競えるなどのメリットがある。


集団生活での責任感も養成する観点から、寮では原則として複数人で一部屋を使用する場合が殆どで、特待生として優遇されない限り、一人一部屋になる事はない(一人一部屋にすれば、寮の建設費や維持費が増大するという理由もある)。


トヨタ自動車やJR東海、中部電力など中部地方の有力企業がイギリスの名門イートン校をモデルにして、全寮制学校「海陽中等教育学校」を作った。


不登校経験者を対象にした学校でも、寮を設置している場合が多い(北星学園余市高等学校など)。



篤志家による設置


特定の学校に属さず、複数の学校から広く学生を受け入れる寮としては、山手学舎、友愛学舎、信愛学舎、登戸学寮、和敬塾、大東会館などがある。山手・友愛・信愛の各学舎は兄弟寮であり、YMCAが運営に関わっている。他にも、自治体などによる県民寮があり、全国的に閉寮傾向にあるが千葉県の育英会館学生寮、富山県の青雲寮などが現存する。



全寮制


自治医科大学や東京基督教大学、防衛大学校、松下政経塾などは全寮制であり、入学と同時に入寮の義務が課せられる。また、皇學館大学も全員が原則2年間、学生寮への入寮が義務付けられている。三重県の青山高等学校(旧・日生学園第二高等学校)(男女共学)と兵庫県の自由ヶ丘高等学校(旧・日生学園第三高等学校)(男子校)は全国でも有名な全寮制の高校である。


なお、旧制大学時代の千葉工業大学では学生だけではなく、教員も同じ寮に寄宿し、寝食を共にするという変わったスタイルの全寮制大学も存在した。



学生寮の一覧



大学




  • 北海道大学 - 恵迪寮(けいてきりょう)日本四大自治寮 北晨寮(ほくしんりょう)自治寮 霜星寮(そうせいりょう)女子寮


  • 北海道教育大学札幌校 - 紫藻寮(しそうりょう)男子寮 北香寮(ほっこうりょう)女子寮


  • 北海道教育大学旭川校 - 築ヶ丘寮(ちくがおかりょう)男子寮 春光寮(しゅんこうりょう)女子寮


  • 北海道教育大学函館校 - 桐花寮(とうかりょう)男子寮 翠蔭寮(すいいんりょう)女子寮


  • 北海道教育大学釧路校 - 鶴ヶ岱寮(つるがだいりょう)男女併設寮


  • 北海道教育大学岩見沢校 - 希望寮(きぼうりょう)男子寮 清明寮(せいめいりょう)女子寮


  • 酪農学園大学 - ㊚北光寮創生寮㊛清温寮(高大共同寮)


  • 札幌医科大学 - 望嶽寮


  • 弘前大学 - 北溟寮(ほくめいりょう)男子寮 北鷹寮(ほくおうりょう)男子寮 朋寮(ほうりょう)女子寮


  • 岩手大学 - ㊚ 自啓寮(じけいりょう)同袍寮(どうほうりょう)北謳寮(ほくおうりょう)㊛紅梅寮(こうばいりょう)


  • 東北大学 - 明善寮(めいぜんりょう) 日本四大自治寮・有朋寮(ゆうほうりょう)廃寮・日就寮(にっしゅうりょう)




  • 筑波大学 - 平砂・追越・一ノ矢・春日宿舎 「寮」ではなく「宿舎」である。収容人数は4000人を超える


  • 埼玉大学 - 蒼玄寮(そうげんりょう・男子)・悠元寮(ゆうげんりょう・女子) 自治寮


  • 千葉工業大学 - 桑蓬寮・椿寮(㊚そうほうりょう・㊛つばきりょう)
    • 千葉工業大学に存在したかつての寮(玉塾寮(玉川校地時代の寮)、君津寮(君津校地時代の寮)、青嵐寮と北斗寮(田中工業航空機器製作所敷地時代の寮)、総椿寮・桑蓬寮(津田沼校地時代の寮)、大久保寮(大久保学地時代の寮)、千種寮(千種校地時代の寮)[1]



  • 千葉大学 - 無名寮・薫風寮・雄翔寮・さつき寮・浩気寮


  • 東京大学 - 駒場寮 日本四大自治寮、廃寮。YMCA寮。


  • 横浜国立大学 - 蒼翠寮 廃寮


  • 東京海洋大学 - 海王寮・朋鷹寮(東京商船大学・東京水産大学)からの伝統行事である早朝カッター訓練がある


  • 東京農工大学 - 欅寮 日本最大の学生寮(男子寮)




慶應義塾大学
日吉寄宿舎




  • 慶應義塾大学 - 日吉寮


  • 日本体育大学 - 日体第一学生寮(東京世田谷深沢)「エッサッサ」の訓練が毎年伝統的に行なわれている。他に健志台合宿寮(横浜青葉区)女子深沢寮-荏原体育の訓練が毎年伝統的に行われている。


  • 東京農業大学 - 常磐寮・昆明寮、飲み会のあとに「青山ほとり大根踊り」を下級生が踊ることもある


  • 東洋大学 - 小石川寮(男子寮、廃寮)


  • 拓殖大学 - 扶桑寮


  • 駿河台大学 - フロンティア・タワーズ(男子・女子寮)、フロンティアS(スポーツ推薦入学者)、飯能学生ハイツ(女子寮)


  • 横浜市立大学 - 夕照寮 全日本コール選手権において男子寮チームとして2連覇を果たす。日本の一気コール文化の一翼を担う。


  • 関東学院大学 - かんらん寮(神学部女子寮、男子寮、廃寮)、YMCA寮(男子寮、廃寮)、青雲寮(男子寮、廃寮)


  • 新潟大学 - 六花寮


  • 富山大学 - 新樹寮(しんじゅりょう)


  • 信州大学 - 思誠寮 北杜夫の「どくとるマンボウ青春記」の舞台。こまくさ寮、男女混合の学生自治寮。揃いの法被や、追いコン(寮中を酒まみれにする)、寮祭が学生の間で有名。


  • 金沢大学 - 北溟寮 日本海側最大の収容人数を誇る寮(男子寮)


  • 福井大学 - 啓成寮


  • 静岡大学 - 片山寮・雄萠寮・あかつき寮


  • 名古屋大学 - 国際嚶鳴館(旧:嚶鳴寮)


  • 豊田工業大学 - 久方寮・第二久方寮


  • 岐阜大学 - 黒野寮


  • 三重大学 - 安濃津寮、むかしは寮が主催で伝統の仮装行列があった


  • 皇學館大学 - 男子:精華寮(せいかりょう)女子:貞明寮(ていめいりょう)


  • 京都大学 - 吉田寮 日本四大自治寮。現存する日本最古の学生寮・熊野寮(くまのりょう)・地塩寮(ちえんりょう)YMCA寮。




  • 同志社大学 - 自治寮


  • 大阪大学 - 刀根山寮、清明寮、新稲寮、向陽寮、もみじ寮


  • 関西学院大学 - 啓明寮、静修寮、成全寮、清風寮、聖和寮


  • 岡山大学 - 北津寮(ほくしんりょう) マルクス主義青年同盟(マル青同)による襲撃・殺人事件。廃寮


  • 鳥取大学 - 北斗寮(ほくとりょう)


  • 島根大学 - 雄翔寮(ゆうしょうりょう)


  • 山口大学 - 吉田寮、椹野寮、常盤寮


  • 宇部フロンティア大学、宇部フロンティア大学短期大学部 - ㊚知心療、㊛洗心寮


  • 香川大学 - 留学生会館(屋島寮に併設)、上之町国際寮、㊚屋島寮、光風寮、㊛若草寮


  • 徳島大学 - ㊚晨鐘寮、㊛藍華寮


  • 九州大学 - 田島寮(廃寮)、松原寮、井尻寮、貝塚寮。


  • 九州工業大学 - 明専寮男子寮 老朽化のため2010年に廃寮


  • 琉球大学 - 千原寮(せんばるりょう) 男子:北辰棟、海邦棟、南星棟、混住棟、新混住棟 女子:紫陽花棟、混住棟、新混住棟



高等専門学校


国立および私立の高等専門学校には学生寮がある。



中学校・高等学校



  • 白陵中学校・高等学校

  • 秀明中学校・高等学校

  • 麗澤高等学校

  • 麗澤瑞浪高等学校

  • 自由学園高等学校


  • ラ・サール中学校・高等学校、函館ラ・サール中学校・高等学校

  • 黄柳野高等学校

  • 桜丘中学校・高等学校 (三重県)

  • 青山高等学校 (三重県)

  • 自由ヶ丘高等学校 (兵庫県)

  • 早稲田摂陵中学校・高等学校

  • 暁星国際中学校・高等学校


  • 宇部フロンティア大学付属香川高等学校-㊚知心寮、㊛洗心寮


  • とわの森三愛高等学校 - ㊚機農寮、㊛清温寮(高大共同寮)


  • 都立秋川高校 - 玉成寮

  • 鹿児島県立楠隼中学校・高等学校



各種学校




  • 宝塚音楽学校 - すみれ寮

  • 竹岸食肉専門学校

  • 日立工業専修学校

  • 朝鮮大学校



文部科学省所管外


省庁大学校




  • 水産大学校 - 滄溟寮


  • 防衛大学校 - 学生舎


  • 防衛医科大学校 - 学生舎


予備校



  • 両国予備校(2005年廃校) - 同仁寮(全寮制を謳いつつも通学生も受け入れていた)

職業訓練施設


  • 東電学園

その他




  • 競馬学校(JRA) - 全寮制


  • 警察学校 - 初任教育は入寮することが義務づけられている。


  • やまと学校(現:ボートレーサー養成所)(ボートレース) - 全寮制

  • 戸塚ヨットスクール


  • ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(幸福の科学)



アメリカの学生寮




典型的なアメリカの学生寮



大学


アメリカの大学では寮が設けられる場合にはキャンパス内に設けられていることが多い[2]。アメリカの大学の寮の形態には、男子寮(men's dorm)、女子寮(women's dorm)、男女共有寮(co-ed dorm)があり、上級者専用の寮や留学者専用の寮など対象が定められている寮もある[2]。大学の寮には娯楽室、自習室、コンピュータルーム、ラウンジ、洗濯室等が設けられている[3]



学生寮を扱った作品



  • 小説


    • 高橋和巳『憂鬱なる党派』


    • 野沢尚『反乱のボヤージュ』集英社


    • 吉屋信子『屋根裏の二処女』国書刊行会


    • 恩田陸『ネバーランド』集英社


    • 村上春樹『ノルウェイの森』講談社、及びその元となった「螢・納屋を焼く・その他の短編」


    • 宗方俊彦『まだ生きてる本音の教育-全寮制都立秋川高校』(1984年 三水社)


    • 佐川光晴『二月』『八月』(短編集『静かな夜』所収。2012年 左右社)。作者は1983年北海道大学恵迪寮入寮


    • 椰月美智子『緑のなかで』(2018年 光文社)[4][5]



  • 随筆

    • 北杜夫『どくとるマンボウ青春記』


  • 映画

    • 「アニマルハウス」 - アメリカ、1979年


    • 山田洋次「ダウンタウン・ヒーローズ」 - 日本、松竹、1987年

    • 「清き國ぞとあこがれぬ」 - 日本 北海道放送 2013年[6]



  • 漫画


    • 那州雪絵『ここはグリーンウッド』


    • 紺野キタ『ひみつの階段』ポプラ社

    • 遠藤察男・あゆみゆい『ようこそ!微笑寮へ』

    • 袴田めら『最後の制服』


    • 天津冴『まるごと♥杏樹学園』


    • 小山田いく『ぶるうピーター』


    • 春田なな『ラブ・ベリッシュ!』



  • 舞台

    • 平田オリザ『海よりも長い夜』1999年初演




脚注


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  1. ^ もとは全寮制大学が前身で、時局に伴って何度か大学の所在地が移転しているため、複数の寮(名)が存在するが、その伝統は現在の寮にも受け継がれている。

  2. ^ ab永野真司『アメリカホームスティ&留学の英会話』三修社、2010年、40頁


  3. ^ 永野真司『アメリカホームスティ&留学の英会話』三修社、2010年、40-41頁


  4. ^ “椰月美智子『緑のなかで』特設サイト”. 光文社 (2018年9月20日). 2019年1月2日閲覧。


  5. ^ 椰月美智子 『緑のなかで』 光文社、2018年9月。ISBN 978-4334912406。


  6. ^ “テレビドラマデータベース”. テレビドラマデータベース (2013年5月6日). 2018年5月10日閲覧。




関連項目



  • 寮歌

  • 旧制高等学校

  • 自治寮

  • 管理寮

  • 県人寮

  • 寮がある日本の中学校・高等学校の一覧


  • 寮・下宿・寄宿舎


  • 大学寮 - 寄宿舎ではなく古代日本の律令制下での教育機関である。

  • スパルタ教育

  • ボーディングスクール




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