YOSAKOI
YOSAKOI(よさこい)は、高知県のよさこい祭りから端を発した、踊りを主体とする日本の祭の一形態である。1990年代に北海道札幌市のYOSAKOIソーラン祭りが成功したことにより、そのノウハウをもとに2000年代にかけて各地に広がった。
目次
1 沿革
2 特徴
3 主なよさこい祭りの規模
4 全国のよさこい祭り一覧
5 関連項目
6 脚注
7 外部リンク
沿革
1950年(昭和25年)、南国高知産業大博覧会(高知市)において「よさこい踊り」が披露された。
1954年(昭和29年)、高知市において第1回「よさこい祭り」開催。
1992年(平成4年)、札幌市において第1回「YOSAKOIソーラン祭り」開催。
1999年(平成11年)、高知市「よさこい祭り」で第1回「よさこい全国大会」開催。
2011年(平成23年)、東日本大震災を機に、全国組織の「YOSAKOI! JAPAN連絡協議会」発足[1]。
特徴
「よさこい系」「YOSAKOI系」の祭は、以下のようなフォーマットを踏襲している。
- 鳴り物:手に鳴子(なるこ)などを持って、鳴らしながら踊る。
- 曲:地元の伝統民謡、又はご当地ソングを5分程度にアレンジ(ジャズダンス・ディスコ・ヒップホップ風が多い)した曲に合わせて踊る。
- 衣装:おもに和風にアレンジされたデザインのチームオリジナルの衣装を着る。曲中の演出として連続早着替え(衣装チェンジ)等の工夫を凝らす団体も存在する。
- 化粧:歌舞伎・日本舞踊・バレエ・等の舞台化粧や、そのアレンジ、フェースペインティング、等、各自で工夫する。
- 演舞:各チームごとに独特の振り付け(ステージ形式、パレード形式)を織り交ぜた集団での踊り。
この他については、各地域ごとにルールは異なっている。
装置集約型の七夕祭り等は開催する商店街の出費が多いが、YOSAKOI祭りは踊りを主体とした参加者集約型の祭りであるため、主催者側の持ち出しが少ないわりに規模拡大や集客効果が期待出来、短期間に各地に広がった。ただし、踊りに参加する各団体は、練習場代・衣装費・移動費などを自ら出費した上で参加費用を払っており、祭りの主催者の受益と参加者の出費とのバランスの悪さがしばしば問題になる。特に、グッズ販売や参加料の徴収など、主催者側の商業的な面が強い祭りに対しては批判も少なくなく、公益的な祭りを謳っていながら会計が不透明である等の批判を受けている祭りも見受けられる[2]。
その他、地域本来の伝統文化とは無縁に組織されることもあり、祭りというよりも実質的には創作ダンスのコンテストとなってしまっているものもある。また、自由にアレンジできる反面、安易に曲の引用をするために、著作権侵害の問題も発生している[3]。また、一部では全国的に「YOSAKOI」が爆発的に増えたがために、よさこいそのものが飽きられる傾向が見られ、「静岡おだっくい祭り」等のようにイベントそのものが終了したり、各地のよさこいチームが解散するというケースも増え、よさこいが衰退、凋落を辿って淘汰されて行く傾向にあるという声も上がっている。札幌市の「YOSAKOIソーラン祭り」等では前述の金銭的な問題に加え、開催地の地元住民からも参加者のマナーの悪さや騒音問題、そもそも北海道と関係の無かった「よさこい」が開催されること等に対して批判的な声が上がっている。
主なよさこい祭りの規模
2010年度の実績。ただし、YOSAKOIさせぼ祭り、泉州よさこい、ドリーム夜さ来い、については2010年10月13日現在で未開催のため、エントリー数。
都市 | 名称 | 参加 団体数 | 踊り手 総数 (人) | 観客数 (万人) | 開催 日数 | 開始年 | 典拠 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
高知市 | よさこい祭り | 191チーム | 19,000 | 4日間 | 1954年 | [4] | |
札幌市 | YOSAKOIソーラン祭り | 304チーム | 30,000 | 218 | 5日間 | 1992年 | [5] |
仙台市 | みちのくYOSAKOIまつり | 190チーム | 10,000 | 47 | 2日間 | 1998年 | [6] |
坂戸市 | 坂戸よさこい | 113チーム | 3日間 | 2001年 | [7] | ||
東京都 | 東京よさこい | 113チーム | 2日間 | 2000年 | [8] | ||
東京都 | ドリーム夜さ来い | 102チーム | 7,000 | 50 | 2日間 | 2002年 | [9] |
浜松市 | がんこ祭・浜松よさこい | 124チーム | 2日間 | 2001年 | [10] | ||
名古屋市 | にっぽんど真ん中祭り | 221チーム | 23,000 | 210 | 3日間 | 1999年 | [11] |
瑞浪市 | バサラカーニバル | 275チーム | 10,000 | 2日間 | 2004年 | [12] | |
京都市 | 京都さくらよさこい | 124チーム | 20 | 2日間 | 2005年 | [13] | |
大阪市 | こいや祭り | 117チーム | 3日間 | 2000年 | [14] | ||
泉佐野市 | 泉州よさこい ゑぇじゃないか祭り | 103チーム | 1日間 | 2004年 | [15] | ||
神戸市 | 神戸よさこいまつり | 126チーム | 3日間 | 2002年 | [16] | ||
岡山市 | うらじゃ | 142チーム | 6,800 | 55 | 2日間 | 1994年 | [17] |
福岡市 | ふくこいアジア祭り | 101チーム | 60 | 2日間 | 2000年 | [18] | |
佐世保市 | YOSAKOIさせぼ祭り | 202チーム | 3日間 | 1997年 | [19] |
全国のよさこい祭り一覧
北海道
- 6月中旬:YOSAKOIソーラン祭り(札幌市、ソーラン節)
東北地方
- 5月上旬:AOMORI春フェスティバル(青森市) - 青森ねぶた・YOSAKOI・サンバ
- 5月下旬:YOSAKOIさんさ(盛岡市、東北地方または参加チームの地元民謡)
- 6月下旬:ヤートセ秋田祭(秋田市、秋田音頭、東北地方または参加チームの地元民謡)
- 6月下旬:よさこい津軽(弘前市)
- 7月下旬
YOSAKOIソーランジュニア東日本大会(福島県天栄村、ソーラン節)
花笠YOSAKOIまつり(尾花沢市)
柳町ヨサコイ祭り(能代市、秋田音頭、東北地方または参加チームの地元民謡)
大館ハチ公ヤートセ(大館市、秋田音頭、東北地方または参加チームの地元民謡)
大館ハチ公よさこい(大館市、秋田音頭、東北地方または参加チームの地元民謡)
- 8月下旬
かがり火よさこい(秋田市、秋田音頭、東北地方または参加チームの地元民謡)
徳内祭(村山市、徳内ばやし) - 探検家である最上徳内が縁の友好都市、厚岸町の厚岸囃子を取り入れアレンジしている
- 9月中旬
うつくしまyosakoi祭り(福島県、会津磐梯山)
奥州Yosakoi in みずさわ(奥州市)
- 9月下旬:あきたYOSAKOIキッズ祭(横手市、秋田音頭)
- 9月下旬:とわだYOSAKOI夢まつり(十和田市、東北地方または参加チームの地元民謡)
- 10月上旬:みちのくYOSAKOIまつり(仙台市、東北地方または参加チームの地元民謡)
- 11月中旬または下旬:はちのへYOSAKOIまつり(八戸市)
- 5月上旬:AOMORI春フェスティバル(青森市) - 青森ねぶた・YOSAKOI・サンバ
北関東
- 3月下旬:YOSAKOIかぬまフェスティバル(鹿沼市)
- 5月中旬:常陸国YOSAKOI(大子町ほか)
- 8月上旬
かみす舞っちゃげ祭り(神栖市)
桐生八木節まつり(桐生市、八木節)
- 9月中旬:日光よさこい祭り(日光市)
- 10月中旬:だんべえ踊り(前橋市、前橋音頭) - 前橋まつりの構成要素の1つ
- 10月下旬:高崎雷舞フェスティバル(高崎市) - 鳴子ではなく、高崎名物ダルマをモチーフにした「だるこ」を持つ
南関東
- 4月中旬:かわさき楽大師まつり(川崎市)
- 5月下旬:湘南よさこい祭り(平塚市)
- 7月中旬:よさこい祭り in 光が丘公園(練馬区)
- 7月下旬:浦和よさこい(さいたま市南区)
- 7月下旬〜8月上旬:スーパー“ROCK”よさこい祭(台東区)
- 8月上旬:彩夏祭 関八州よさこいフェスタ(朝霞市)
- 8月中旬:ハマこい踊り(横浜市) - ヨコハマカーニバルの構成要素の1つ
- 8月下旬
原宿表参道元氣祭り・スーパーよさこい(渋谷区)
坂戸よさこい(坂戸市) - 2015年からは10月に開催変更
- 9月中旬
ODAWARAえっさホイおどり(小田原市、おさるのかごや)
相模原よさこいRANBU(相模原市)
YOSAKOIかまがや(鎌ケ谷市)
- 10月上旬
黒潮よさこい祭り(銚子市)
ISEHARAソーレパレード(伊勢原市)
東京よさこいコンテスト@ふくろまつり(豊島区)
坂戸よさこい(坂戸市)
- 10月中旬:えびな“彩”festa(海老名市)
- 10月中旬〜10月下旬:かずさYOSAKOI木更津舞尊(木更津市) - 2014年は5月11日に開催された
- 10月下旬:関東YOSAKOIそーなん祭(深谷市) - 埼玉北部の方言「そーなん」を「ソーラン」と掛けている
- 11月上旬:踊るん♪よさこい(草加市) - 「ふささら祭り」の構成要素の1つ
中部地方
- 3月中旬:がんこ祭 浜松よさこい(浜松市)
- 4月下旬:あっぱれ富士(富士市)
- 5月下旬:よさこいINおいでん祭(豊川市) - 「おいでん祭」の構成要素の1つ
- 6月上旬:能登よさこい祭り(七尾市)
犬山踊芸祭(犬山市)
- 6月中旬:南アルプスよさこい祭り(南アルプス市)
- 7月下旬:潮風よさこい(東伊豆町稲取温泉)
- 8月上旬
YOSAKOI安曇野(安曇野市)
よさこいとやま(富山市) - 「富山まつり」の構成要素の1つ
YOSAKOIイッチョライ(福井市、イッチョライ節(福井音頭)) - 「福井フェニックスまつり」の構成要素の1つ
- 8月下旬:にっぽんど真ん中祭り(名古屋市、Sutotoco(総踊り)、又は参加チームの地元民謡)
- 9月下旬:静岡おだっくい祭り(静岡市、おだっくいSANKA)[20]
- 10月上旬:安濃津よさこい(津市、参加チームの地元民謡)
- 11月上旬:よさこい東海道(沼津市)
近畿地方
- 4月初旬:京都さくらよさこい(京都市)
- 4月下旬:大阪ベイエリア祭 Worldあぽろん(大阪市)
- 5月上旬
踊っこまつり(加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)
みやこ姫よさこい祭り(御坊市)
- 8月上旬:ひめじ良さ恋まつり(姫路市)
- 8月下旬
長浜あざいあっぱれ祭り(長浜市、旧浅井町)
おどるんや〜紀州よさこい祭り〜(和歌山市)
バサラ祭り(奈良市)
- 9月中旬:こいや祭り(大阪府)
- 9月下旬:神戸よさこいまつり(神戸市)
- 10月上旬:紀州弁慶よさこい踊り(田辺市) - 「弁慶まつり」の構成要素の1つ
- えゑじゃないか祭(泉佐野市)
- 11月上旬:赤穂でぇしょん祭り(赤穂市)
- 11月中旬:龍馬よさこい(京都市)
中国地方
- 5月上旬:きんさいYOSAKOI(広島市、花ぐるま又は広島音頭) - 「ひろしまフラワーフェスティバル」の構成要素の1つ
- 8月上旬:うらじゃ(岡山市) - 厳密に言うとよさこい系ではないが、パレードや演舞などはよさこい形式
- 8月下旬:関門よさこい大会(下関市) - 「馬関まつり」の構成要素の1つ。関門海峡を挟んで福岡県北九州市との2会場で開催
- 10月上旬:よさこいぶち楽市民祭(周南市) - 「徳山のんた祭」の構成要素の1つ
四国地方
- 8月上旬
よさこい祭り(高知市)
土佐山田まつり(香美市、よさこい鳴子踊り)
- 8月下旬:えひめYOSAKOI祭り(大洲市)
- 10月中旬:YOSAKOI高松祭り(高松市)
- 8月上旬
九州地方
- 8月上旬:わっしょいYOSAKOI北九州(北九州市) - 「わっしょい百万夏まつり」の構成要素の1つ
- 8月下旬:関門よさこい大会(北九州市) - 関門海峡を挟んで山口県下関市との2会場で開催
- 11月中旬:ふくこいアジア祭り(福岡市)
- 10月上旬:YOSAKOIかすや祭り(粕屋町)
- 10月下旬:YOSAKOIさせぼ祭り(佐世保市)
インドネシア
- 7月下旬:SURABAYA YOSAKOI FESTIVAL(スラバヤ)
日本全国で大小約200以上のYOSAKOIがある。
関連項目
- よさこい祭り
- よさこい
ハナヤマタ - YOSAKOIを題材とした漫画作品。
ヤンキー文化 - 小説「YOSAKOIソーラン娘 札幌が踊る夏」でもYOSAKOIのネガティブ要素として触れている[21]。
脚注
^ よさこい、またこい 来年は宮城で全国大会検討(河北新報 2011年10月10日)
^ 第42回社会教育研究会全国集会「若者の学びと文化」分科会・持ち込みレポート「続・YOSAKOIソーランがもたらしたもの」
^ よさこい祭りに著作権料 日本音楽著作権協会が振興会に請求(高知新聞 2008年12月27日)
^ 第57回よさこい祭り 参加チーム紹介(高知商工会議所)
^ 第19回(2010年)開催結果(北海道のYOSAKOIソーラン祭り)
^ みちのくYOSAKOIまつり 開催実績【1998年〜2010年】(みちのくYOSAKOIまつり)
^ 坂戸よさこいチーム紹介(坂戸よさこい)
^ 平成22年度 第11回東京よさこい 参加申込チーム(ふくろ祭り・東京よさこい)
^ ドリーム夜さ来い 参加チーム一覧(ドリーム夜さ来い)
^ 浜よさドットコム がんこ祭参加チーム紹介(がんこ祭・浜松よさこい)
^ 「にっぽんど真ん中祭り 本祭二日目」(にっぽんど真ん中祭り)
^ バサラ瑞浪公式サイト バサカニ2010登録状況(バサラカーニバル)
^ サクヨサ.com 第六回参加チーム一覧(京都さくらよさこい)
^ 第11回こいや祭り 参加チーム紹介(こいや祭り)
^ 泉州よさこいゑぇじゃないか祭り(泉州よさこいゑぇじゃないか祭り)
^ 神戸よさこい2010 参加一覧(神戸よさこいまつり2010)
^ 参加一覧(第17回うらじゃ2010)
^ 参加チーム一覧(ふくこいアジア祭り)
^ 参加チーム一覧(YOSAKOIさせぼ祭り)
^ 2012年第十回大会をもって終了。翌年「ざぁ静岡 はぐしゃれ夢まつり」として開催されるも、一回のみの開催に終わっている。
^ 山内浩司 (2017年6月4日). “YOSAKOI、実は札幌市民は嫌ってる?”. 朝日新聞社. 2017年9月10日閲覧。
外部リンク
- YOSAKOI! JAPAN PROJECT