アクション映画
アクション映画は、観客が映画を見る立場から作品の主な基調をアクションとしてとらえた映画を指す。
映画の主題は主人公が社会枠を貫通して目標に向かって行動する貫通行動にある。ぴあより出版されている『アクション・ムービー究極大鑑』はアクション映画の定義が難しいとしているが、観客により決める立場に沿っている。フランスの哲学者ジル・ドゥルーズは『シネマ1 運動イメージ』で映画の中のアクションの役割と効果について明確な定義をしているし、映画評論家の田山力哉は『映画小辞典』で各ジャンルにアクションは存在するとした見解を示している。
田山はまたアクション映画は映画を製作した国ごとの特色があるとしている。映画史で見ると、西洋であれば西部劇、日本であれば時代劇、香港であれば武侠映画とカンフー映画を量産した歴史がある。
目次
1 分類
2 アクションに対する顕彰
3 代表的な作品(モチーフ別)
3.1 日本武術
3.2 刑事
3.3 ヤクザ映画
3.4 時代劇
3.5 探偵
3.6 冒険
3.7 殺し屋
3.8 戦争
3.9 犯罪
3.10 脱走
3.11 パニック
3.12 カンフー
3.13 武侠
3.14 香港アクション
3.15 スパイ
3.16 ヒーロー
3.17 その他
4 アクション俳優
5 出典
6 関連項目
分類
分類は観客の観点により異なり、西部劇・格闘技映画(空手・拳法・カンフーなど)・冒険映画・時代劇・スパイ映画・ギャング映画・ヤクザ映画などを含めたくくりでアクション映画とする見方もある。製作した国名や地名をつけた「香港アクション」といった呼び方もある。
ドラマとしての構造は、アクション映画も他のドラマと変わる点はない。時代や場所が明確であり、導入部から解決部までのシークエンス(段落)で主人公とその内面に葛藤を引き起こす多くの環境(敵)の対比が弁証法的に説明され最後のクライマックス(山場)に最終目標が達成される。正義感や職業的倫理観からなる主人公の行動原理は現実からの借り物であり観客に分かりやすいキャラクターである。
このため設定や人間関係にテーマとしての味付けをする。前述の『アクション・ムービー究極大鑑』はアクション映画を「ポリス・アクション」「ミリタリー・アクション」「ライド・アクション」「エスケープ・アクション」「SF・アクション」「クライム・アクション」「カンフー・アクション」「アドベンチャー・アクション」「チャンバラ・アクション」「ガン・アクション」に分けている。
ポリス・アクションであれば法治国家の建前から犯罪者を野放しにして警官としての倫理を全うしようとする主人公に足かせを嵌める管理社会との対決(ダーティー・ハリー)や、師匠を殺された未熟な青年が敵を倒すまでに苦しい修行に耐え抜いて宿願を果たすカンフー・アクションもある。またクライム・アクションは犯罪者が主人公の場合に最後に死ぬか、生き延びても未来の到着点に黒点をつける(ゲッタウェイ)のが製作側の不文律として長く存在していた。男同士の友情(特攻大作戦)や大義への献身もアクションのテーマとして不偏性を持ちつづけている。
しかし体制や権力の側との対決は1970年代のスティーブン・スピルバーグの大作志向、ニューシネマの終焉により色あせてしまったこともあり内面の克服といったさらに内向きの傾向へ進んだり、テーマを過去の歴史や未来に求めてSFXの技術を導入したアクションものを大規模な予算で製作するなどへ変化している。日本では北野武が「やくざ映画」の形式でありながらデーマを日常の中に求めて、どの人間の内面にもある狂気に突き動かされる様子を描いた異色のアクション映画(ソナチネ)を発表している。
アクションに対する顕彰
現在では製作本数、配給規模、予算等からアクション映画の製作はアメリカが飛び抜けた存在だが、同国の映像産業における顕彰ではゴールデン・グローブ賞、エミー賞でコメディ部門が創設されている反面アクション部門はない。しかし、プロのスタントマン、スタント団体に所属するメンバーによって投票される“Taurus World Stunt Awards”といった賞はある。アメリカでは2016年にスタント・パーソン100名以上がビバリーヒルズの映画芸術科学アカデミー前で、アカデミー賞に「スタント・コーディネーター部門」を新たに加えるように訴えるデモを行い、すでに5万人の署名を集めたという報道があった[1]。
一方中華圏では香港電影金像奨、金馬奨において「動作設計(アクション設計)賞」が設けられている。また近年発足した賞として、中国大陸で上海国際映画祭においてジャッキー・チェンの冠の付いた「成龍動作電影周之夜(ジャッキー・チェン・アクション映画ウィーク)」で、アクション作品、俳優、アクション監督に対する賞があり、日本では、映画だけでなくテレビドラマなども含んだ映像作品を対象とした「ジャパンアクションアワード」がある。
代表的な作品(モチーフ別)
日本武術
姿三四郎 (映画) (1943年)
柔道一代シリーズ
柔道一代 (1963年)
ボディガード牙シリーズ
ボディガード牙 (1973年)
殺人拳シリーズ
激突! 殺人拳 (1974年)
子連れ殺人拳 (1976年)
直撃! 地獄拳シリーズ
直撃! 地獄拳 (1974年)
けんか空手 極真拳シリーズ
けんか空手 極真拳 (1975年)
空手バカ一代 (1977年)
少林寺拳法 (1975年)
激突! 合気道 (1975年)
激殺! 邪道拳 (1977年)
刑事
- その男、凶暴につき
- HANA-BI
- ブリット
やくざ刑事シリーズ
- やくざ刑事
フレンチ・コネクションシリーズ
ダーティハリーシリーズ
麻薬売春Gメンシリーズ
- 麻薬売春Gメン
- ドーベルマン刑事
ポリス・ストーリーシリーズ- 48時間
ビバリーヒルズ・コップシリーズ- 野獣捜査線
- リーサル・ウェポン
あぶない刑事シリーズ
ダイ・ハードシリーズ - いわゆる「巻き込まれ型」アクション映画の典型例でもある。- リゾート・トゥ・キル
- ザ・サイレンサー MAGNUM357
- ヒート
- マイアミ・バイス
ラッシュアワーシリーズ
踊る大捜査線シリーズ
ヤクザ映画
ソナチネ (1993年)
BROTHER (2001年)
アウトレイジ シリーズ (2010年,2012年)
仁義なき戦いシリーズ
時代劇
七人の侍 (1954年)
蜘蛛巣城 (1957年)
柳生一族の陰謀 (1978年)
赤穂城断絶 (1978年)
影武者 (1980年)
魔界転生 (1981年)
里見八犬伝 (1983年)
将軍家光の乱心 激突 (1989年)
新・影の軍団シリーズ (2003年)
探偵
風来坊探偵シリーズ (1961年)
- 風来坊探偵 赤い谷の惨劇
ファンキーハットの快男児シリーズ (1961年)
- ファンキーハットの快男児
- ファンキーハットの快男児 二千万円の腕
冒険
カミカゼ野郎 真昼の決斗 (1966年)
冒険者たち (1967年)
東京-ソウル-バンコック 実録麻薬地帯 (1973年)
冒険者カミカゼ -ADVENTURER KAMIKAZE- (1981年)- インディ・ジョーンズ シリーズ
殺し屋
ゴルゴ13 (1973年の映画) (1973年)
ゴルゴ13 九竜の首 (1977年)
戦争
眼下の敵 (1957年)
ナヴァロンの要塞 (1961年)
戦争のはらわた (1977年)
戦国自衛隊 (タイムスリップ・戦国時代、1979年)
勝利への脱出 (1981年)
ランボーシリーズ (1982、1985、1988、2008年)
地獄のヒーローシリーズ (1984、1985、1988年)
コマンドー (1985年)
プラトーン (1986年)
ラスト・オブ・モヒカン (1992年)
プライベート・ライアン (1998年)
エネミーライン (2001年)
ブラックホーク・ダウン (2001年)
マスター・アンド・コマンダー (2003年)
ラストサムライ (2003年)
ブラザーフッド (2004年)
トロイ (2004年)
エクスペンダブルズシリーズ(2010、2012、2014年)
犯罪
明日に向って撃て! (1969年)
狼やくざシリーズ
狼やくざ 殺しは俺がやる (1971年)
オーシャンズシリーズ(2002年、2005年、2007年、2018年)
G.I.ジョーシリーズ(2009年、2013年)
脱走
大脱走 (1963年)
脱走遊戯 (1976年)
パニック
タワーリング・インフェルノ (1974年)
新幹線大爆破 (1975年)
カンフー
- ドラゴン危機一発
- ドラゴン怒りの鉄拳
- ドラゴンへの道
- 燃えよドラゴン
- ブラッド・ブラザース 刺馬
燃えよデブゴンシリーズ
少林寺三十六房シリーズ- スネーキーモンキー 蛇拳
- 酔拳 シリーズ - ドランクモンキー 酔拳、酔拳2、酔拳3
- ヤングマスター 師弟出馬
- 少林寺
プロジェクトAシリーズ
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナシリーズ- レディ・ファイター 詠春拳伝説
- 格闘飛龍 方世玉
- 電光飛龍 方世玉2
- マスター・オブ・リアル・カンフー 大地無限
- フィスト・オブ・レジェンド 怒りの鉄拳
- ザ・ワン
- カンフーハッスル
- SPIRIT
- イップ・マン 序章
- イップ・マン 葉問
- 新少林寺/SHAOLIN
- 捜査官X
- カンフー・ジャングル
武侠
- 大酔侠
- 侠女
- マジック・ブレード
- 蜀山奇傅 天空の剣
チャイニーズ・ゴースト・ストーリーシリーズ
スウォーズマンシリーズ- シスター・オブ・ドラゴン 天女武闘伝
- ドラゴン・イン/新龍門客棧
- 新流星蝴蝶剣
- ブレード/刀
- グリーン・デスティニー
- 風雲 ストームライダーズ
- HERO
- LOVERS
- セブンソード
- レイン・オブ・アサシン
- ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝
- 王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件
- Crouching Tiger Hidden Dragon: ソード・オブ・デスティニー
香港アクション
- スパルタンX
ポリス・ストーリーシリーズ- クライム・キーパー 香港捜査官
- タイガー・コネクション
男たちの挽歌シリーズ- サンダーアーム/龍兄虎弟
- レッド・ブロンクス
- チャイニーズ・ウォリアーズ
- プロジェクトS
ワンダー・ガールズ 東方三侠シリーズ- パープルストーム 紫雨風暴
- ファイナル・プロジェクト
- WHO AM I?
- ザ・ミッション 非情の掟
チャーリーズ・エンジェルシリーズ- 少林サッカー
- ロミオ・マスト・ダイ
- クローサー
- ツインズ・エフェクト
- 柔道龍虎房
- SPL/狼よ静かに死ね
- かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート
- 導火線 FLASH POINT
- インビジブル・ターゲット
- レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳
- 密告・者
- スペシャルID 特殊身分
スパイ
007シリーズ
ミッション:インポッシブルシリーズ
ジェイソン・ボーンシリーズ
スパイキッズシリーズ
キングスマンシリーズ
ヒーロー
DCコミックス
スーパーマンシリーズ
バットマンシリーズ- グリーン・ランタン
- スーサイド・スクワッド
- ワンダーウーマン
- ジャスティス・リーグ
マーベル・シネマティック・ユニバース
ブレイドシリーズ
X-MENシリーズ
ファンタスティック・フォーシリーズ
ゴーストライダーシリーズ
デッドプールシリーズ
アベンジャーズ
アベンジャーズシリーズ
スパイダーマンシリーズ
ハルクシリーズ
アイアンマンシリーズ
マイティ・ソーシリーズ
キャプテン・アメリカシリーズ
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーシリーズ
アントマンシリーズ- ドクター・ストレンジ
- ブラック・パンサー
- キャプテン・マーベル
トランスフォーマーシリーズ
その他
網走番外地シリーズ - ヤクザ映画に分類される事も多い。
リメインズ 美しき勇者たち (1990年) - 熊との戦い
沈黙の戦艦シリーズ
スピードシリーズ- 狂い咲きサンダーロード
アクション俳優
アクション俳優のカテゴリを参照。
出典
^
“Stunt Performers Rally For Inclusion At Oscars”. deadline.com. 2016 -2-28時点のオリジナルよりアーカイブ。2016-2 -24閲覧。
関連項目
- 映画のジャンル
- 映画用語
- アクション俳優
- アクション監督
- 西部劇
- マカロニウエスタン
- 剣戟映画
- カンフー映画
- スタントマン
- ワイヤーアクション