超高層マンション






超高層マンションのうち世界第5位の高さを有するオーストラリア・ゴールドコーストのQ1


超高層マンション(ちょうこうそうマンション)とは、従来のマンションと比べて際立って高い住居用高層建築物の俗称。その外観の形態からタワーマンションとも呼称される。


日本では超高層マンションに対する法的な定義はないが、建築基準法第20条「高さが58mを超える建築物」と同義とすることが多く(ほぼ同程度の高さとなる18階超も含まれる)[1]、環境アセスメント条例が適用される「高さ98m以上」とする場合も見られる。




目次






  • 1 世界


    • 1.1 世界最高層の超高層マンション


    • 1.2 アメリカ合衆国


    • 1.3 ヨーロッパ




  • 2 日本


    • 2.1 現在の超高層マンション


    • 2.2 建設中・計画中




  • 3 問題点


    • 3.1 長周期地震動との共振の可能性


    • 3.2 管理組合運営の難しさ


    • 3.3 健康面


    • 3.4 高齢化




  • 4 超高層マンションを舞台にした作品


  • 5 脚注


    • 5.1 注釈


    • 5.2 出典




  • 6 参考文献


  • 7 関連項目


  • 8 外部リンク





世界



世界最高層の超高層マンション


世界最高層の超高層マンションは、世界の超高層マンションの一覧を参照のこと。



アメリカ合衆国


ニューヨーク市では、早くも20世紀前半・世界大恐慌の前後には高層アパートメントの建築ラッシュを迎えている[1]。同時期、同市セントラル・パークの西側沿いには、「サン・レモ(The San Remo)」(1930年、27階建て)、「エルドラード(The Eldorado)」(1931年、30階建て)、「センチュリー・アパートメント(The Century Apartment)」といった、主にアールデコ様式を用いた何れもツイン・タワー形式のアパートが計5施設完成している。これらのアパートは現在でも歴史的建築物として保存され、ステータスを備えた超高級アパートメントとして高額で売買が行われている。


第二次世界大戦後には、同市マンハッタンのミッドタウンやアッパーイースト地区には無数の高層アパートメントが林立するようになった。欧米における集合住宅の居住形態ではベランダやバルコニーが必要とされないため、それらの建物の外観はオフィスビルやホテルなどとの区別が付き難いことが多い。


2001年、マンハッタン東部、国際連合本部ビルの正面に完成し、不動産王ドナルド・トランプが所有する「トランプ・ワールド・タワー(Trump World Tower)」(262m、72階)は、1990年代以降に西半球で建設された高層ビルとしては最高の高さである。住居専用の建築としては現在でも西半球で最高層となっている。同ビル1階には日本料理店が入居するほか、日本人MLB選手が居住していることでも知られる。



ヨーロッパ


欧州では、1960年代にピークを迎えたが、ロンドンでの爆発事故等1970年代抑制傾向が目立ち、公営住宅が連想されるなど、一般的にはあまりよいイメージを持たれていないという[1]



日本


旧来戸建の持ち家に住むことへのこだわりが強く、災害(地震・火災)の面からも高層居住への不安が強かった日本では、高層共同住宅の整備は進まなかった。また、高層建築物に対応できる消防車(高機能なポンプ車・高層用はしご車など)が配備出来ていない自治体も多かった(現在は11階以上にスプリンクラー設備設置が義務化)。


しかしながら1974年(昭和49年)、鹿島建設が自社の社宅「椎名町アパート」[2](東京都豊島区、18階建て)をRC構造で建設したことでマンションの高層化が可能であることが立証された。その後、1976年(昭和51年)に住友不動産が埼玉県与野市(現在のさいたま市中央区)に21階建て、高さ66mの分譲マンション 「与野ハウス」を竣工させ、これが日本における高層マンションの第1号とされる。当初は、容積率や日照権などの問題から、超高層マンションを建てるには広い土地が必要であり、土地取得のし易い郊外や河川沿いなどに立地する例が多かった。


1997年(平成9年)、規制緩和の一環として容積率上限を600%まで、日影規制の適用除外とする「高層住居誘導地区」が、第140回国会において議決され、また、廊下・階段等を容積率の計算から除外する建築基準法の改正案が成立した。これにより、超高層マンションの建設は急増、東京都心や湾岸地域などで住居が大量に供給されたことにより、都心回帰と呼ばれる現象も惹起した。その後、大都市近郊の鉄道沿線や地方都市などにも超高層マンションが多く建設されるようになった。


現在日本で最高層の超高層マンションは、大阪市中央区の「The Kitahama」(54階建、高さ209m)である。計画中のもので最高層のものは東京都港区の「虎ノ門・麻布台地区 B-1街区」(63階建、高さ270m)で2022年度に完成予定となっている。


タワーマンションは、デベロッパーによる子育て層を対象にした営業活動もあり、入居者はファミリー層が多い[3]。大型タワーマンションの場合、1棟あたり1,000戸以上あり、一つの町とも言えるものであり、大規模マンション、タワーマンションが丁目を占めている地域もある[3]。周辺に生活に必要な様々な店が開業してコンパクトシティを形成しているが、初期のタワーマンションでは住人の高齢化に伴い、すでに保育所などの数は少ない傾向がある[3]



現在の超高層マンション


2017年(平成29年)時点での全国の170m以上の超高層マンションの高さの順位は以下の通り。























































































































































































































































































































名称

画像

所在地

高さ

階数

竣工年月

1

The Kitahama (北浜タワー)

The Kitahama Tower & Plaza.jpg


大阪市中央区
209.4m
54階
2009年3月
2

ザ・パークハウス 西新宿タワー60

GazouBoshu.png


東京都新宿区
208.97m
60階
2017年7月
3

パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー

パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー.JPG


川崎市中原区
203.45m
59階
2009年4月
4

クロスタワー大阪ベイ

X-TOWER OSAKA BAY.jpg

大阪市港区
200.4m
54階
2006年8月
5

シティタワー広島

BIG FRONT HIROSHIMA 20160911.JPG

広島市
197.5m
52階
2016年8月
6

シティタワー武蔵小杉

GazouBoshu.png

川崎市中原区
194m
53階
2015年
7=

THE TOKYO TOWERS
MID TOWER

THE TOKYO TOWERS JPN 0246.jpg


東京都中央区
193.5m
58階
2008年1月
7=
THE TOKYO TOWERS
SEA TOWER

THE TOKYO TOWERS JPN 0246.jpg

東京都中央区
193.5m
58階
2008年1月
9
勝どきビュータワー

Kachidoki View Tower 2012 Tokyo.jpg

東京都中央区
193m
55階
2010年8月
10
ザ・パークハウス中之島タワー

GazouBoshu.png

大阪市北区
192.93m
55階
2017年
11

富久クロスコンフォートタワー

富久クロス コンフォートタワー.jpg

東京都新宿区
191m
55階
2015年
12
汐留H街区超高層棟
(アクティ汐留他)

Acty-Shiodome-02.jpg

東京都港区
190.25m
56階
2004年4月
13

シティタワー神戸三宮

250117152701-City Tower KOBE SANNNOMIYA.JPG


神戸市中央区
190m
54階
2013年2月
14
大阪ひびきの街 ザ・サンクタスタワー

GazouBoshu.png

大阪市西区
189.5m
53階
2015年3月
15

アウルタワー

Owl-Tower-Ikebukuro-02.jpg

東京都豊島区
189.2m
52階
2011年1月
16

としまエコミューゼタウン

Toshima Ecomusee Town 01.jpg

東京都豊島区
189m
49階
2015年
17
キャピタル・ゲートプレイス ザ・タワー

GazouBoshu.png

東京都中央区
187m
53階
2015年
18

エルザタワー55

Kawaguchi elsa tower 001 cropped.jpg


埼玉県川口市
185.8m
55階
1998年7月
19

大川端リバーシティ21・
センチュリーパークタワー

Century-Park-Tower-2.jpg

東京都中央区
180m
54階
1999年3月
20

パークシティ豊洲

Tower A at Park City Toyosu complex.JPG

東京都江東区
179.96m
52階
2008年3月
21
パークシティ武蔵小杉 ザ ガーデン タワーズイースト

GazouBoshu.png

神奈川県川崎市中原区
178.90m
53階
2017年12月
22

KACHIDOKI THE TOWER

GazouBoshu.png

東京都中央区
178.78m
53階
2016年11月
23

Wコンフォートタワーズ

Tobus fukagawa-dept.jpg

東京都江東区
178.48m
54階
2004年8月
24

シティタワー西梅田

CityTower-Nishiumeda.jpg

大阪市福島区
177.4m
50階
2007年1月
25=
DEUX TOURS CANAL&SPA EAST棟

DEUX TOURS.jpg

東京都中央区
177.3m
52階
2015年9月
25=
DEUX TOURS CANAL&SPA WEST棟

DEUX TOURS.jpg

東京都中央区
177.3m
52階
2015年9月
27

The Tower Osaka

TheTowerOsaka.jpg

大阪市福島区
177m
49階
2008年6月
28

プラウドタワー東雲キャナルコート

GazouBoshu.png

東京都江東区
175.01m
52階
2012年12月
29

グランフロント大阪オーナーズタワー

Grand Front Osaka Block C.jpg

大阪市北区
174.2m
48階
2013年4月
30

パークアクシス青山一丁目タワー

Park-Axis-Aoyama-Icchome-Tower-03.jpg

東京都港区
172.39m
46階
2007年3月
31=

シティタワーズ豊洲
ザ・ツインN棟

North Tower of City Towers Toyosu The Twin 2012 Tokyo - コピー.jpg

東京都江東区
171.2m
48階
2009年3月
31=

シティタワーズ豊洲
ザ・ツインS棟

South Tower of City Towers Toyosu The Twin 2012 Tokyo.jpg

東京都江東区
171.2m
48階
2009年3月
33

御影タワーレジデンス

Mikage tower regidense.JPG

神戸市東灘区
170m
47階
2010年3月

高さの国内最高の変遷


  • 1976年~1987年 - 与野ハウス(66m)

  • 1987年~1989年 - ベル・パークシティG棟(115.95m)

  • 1989年~1991年 - 大川端リバーシティ21リバーポイントタワー(132m)

  • 1991年~1993年 - イーストコート3番街(140m)

  • 1993年~1998年 - オークプリオタワーレジデンス(167m)

  • 1998年~2004年 - エルザタワー55(185m)

  • 2004年~2006年 - アクティ汐留(190m)

  • 2006年~2009年 - クロスタワー大阪ベイ(200m)

  • 2009年~ - The Kitahama(209m)


階数の国内最高の変遷


  • 1976年~1987年 - 与野ハウス(22階)

  • 1987年~1989年 - ベル・パークシティG棟(36階)

  • 1989年~1992年 - 大川端リバーシティ21リバーポイントタワー(40階)

  • 1992年~1993年 - 桜宮リバーシティ・ウォータータワープラザ(41階)

  • 1993年~1998年 - オークプリオタワーレジデンス(50階)

  • 1998年~2004年 - エルザタワー55(55階)

  • 2004年~2008年 - アクティ汐留(56階)

  • 2008年~2009年 - THE TOKYO TOWERS(58階)

  • 2009年~2017年 - パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー(59階)

  • 2017年~ - ザ・パークハウス西新宿タワー60(60階)



建設中・計画中


建設中、計画中の超高層マンションの高さの順番は以下の通り。
































































































































































































虎ノ門・麻布台地区 B-1街区
東京都港区
270m
63階
2022年度
虎ノ門・麻布台地区 B-2街区
東京都港区
240m
53階
2022年度

西新宿三丁目西地区再開発
東京都新宿区
235m
65階

2026年度
虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー
東京都港区
221m
54階
2020年
ザ・タワー 横浜北仲
神奈川県横浜市中区
199.95m
58階
2020年
月島三丁目地区第一種市街地再開発事業
東京都中央区
199m
59階
2025年度
勝どき東地区第一種市街地再開発事業 A1棟
東京都中央区
195m
56階
2027年
梅田曽根崎計画
大阪府大阪市北区
193m
56階
2022年3月
浜松町二丁目C地区再開発
東京都港区
190m
47階
2021年
月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業
東京都中央区
190m
50階
2024年
豊海地区第一種市街地再開発事業東棟
東京都中央区
189m
56階
2025年
豊海地区第一種市街地再開発事業西棟
東京都中央区
189m
56階
2025年
学校法人日本医科大学武蔵小杉キャンパス再開発計画C街区N棟
神奈川県川崎市中原区
188m
50階
2023年8月
学校法人日本医科大学武蔵小杉キャンパス再開発計画C街区S棟
神奈川県川崎市中原区
188m
50階
2023年8月
シエリアタワー千里中央
大阪府豊中市
184.92m
52階
2019年度
hitoto広島 The Tower
広島市中区
183m
54階
2020年
横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業
横浜市神奈川区
180m
44階
2021年度
豊洲地区1-1街区
東京都江東区
180m
50階
2021年
北8西1再開発
札幌市北区
180m
50階
2018年度
晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業5-5街区
東京都中央区
180m
50階
2024年
晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業5-6街区
東京都中央区
180m
50階
2024年
東高島地区 C地区棟
神奈川県横浜市神奈川区
180m
52階
2025年
南池袋二丁目C地区再開発北棟
東京都豊島区
180m
51階
2025年
南池袋二丁目C地区再開発南棟
東京都豊島区
180m
51階
2025年
西日暮里駅前地区市街地再開発事業
東京都荒川区
180m

2025年
パークシティ武蔵小杉 ザ ガーデン タワーズウエスト
神奈川県川崎市中原区
178.90m
53階
2018年12月
パークタワー晴海
東京都中央区
178m
48階
2019年


問題点



長周期地震動との共振の可能性


超高層建築物の固有振動の周期は低層の建物に比べ長いので、地震動の周期の長い海溝型巨大地震の地震動との共振の可能性が最近は指摘されるようになった。日本の超高層ビルの歴史は浅く、実際の海溝型巨大地震を経験した超高層ビルはない為に経験的予測はできず、シミュレーションに頼るしかない。制震工法や免震工法で建設される超高層マンションが最近では少なくないが、いずれにせよ海溝型巨大地震の長周期地震動との共振に備えて家具の固定が推奨されている[1]。さらには、地震でエレベーターが停止すると、上階の住人が移動手段を失うという「高層難民」の発生も懸念されている[4]



管理組合運営の難しさ


超高層マンションは、規模が大きく区分所有者の人数も多くなる。さらに、超高層マンションの購入者が重視するポイントに眺望が挙げられ、低層階と高層階との価格格差が大きくなることが一般的であり(数倍となることも見られる)[† 1]、それによる区分所有者間の所得・資産格差の大きさが、管理組合運営へ影響しやすい[1]



健康面


環境が人体に与える影響を研究する東海大学医学部の逢坂文夫は、高層階に住むと女性の流産率が高まり、子供が低体温やアレルギー疾患になりやすいと述べている[5][6]



高齢化


団地と超高層マンションは、完成年と形状(建築物の構造)こそ異なるが、多数の住民が短期間に増える点は共通しており、同じ問題を抱えている。2016年時点で、既に初期の超高層マンションでは、かつての団地と同じく居住者の高齢化が始まっている。都市の人気エリアであっても、急激な高齢化によって、医療や介護の施設は足りるのかといった、山村と同じ問題に直面するという意見もある。[3]



超高層マンションを舞台にした作品



  • 『ハイ・ライズ』(1975年) - J・G・バラードの小説。

  • 『ハイ・ライズ』(2015年) - バラードの小説の映画化。

  • 『砂の塔〜知りすぎた隣人』(2016年) - TBSのテレビドラマ。主演 菅野美穂。



脚注


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注釈





  1. ^ 専有部分#階層別、位置別効用比も参照せよ。




出典




  1. ^ abcde『マンション学事典』18-19頁


  2. ^ 2014年現在も、「鹿島テラスハウス南長崎1号棟」として現存している。

  3. ^ abcd坂本憲昭 「東京都江東区タワーマンション地域の高齢化について」 経済志林 84(1・2), 37-63, 2016-09, 法政大学経済学部学会


  4. ^ もり・ひろし (2007年12月4日). “「高層難民」 - 時代を読む新語辞典 - ビジネスABC”. 日経BP. 2010年12月31日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2011年2月23日閲覧。


  5. ^ タワーマンションの高層階に住むと健康に悪影響か 専門家が指摘 2015年11月5日 16時0分 週刊女性PRIME


  6. ^ マスコミが報道できない「高層階病」の実態 6階以上&33歳以上で44%流産 02:28 12/14 2010三好基晴 マイニュースジャパン




参考文献



  • 日本マンション学会編 『マンション学事典』 民事法研究会、2008年。ISBN 978-4-89628-457-7。 


関連項目







  • 超高層ビル

  • 超高層ビルの画像一覧

  • マンション

  • 大規模マンション

  • 都市再開発

  • 各都道府県で最も高いビルの一覧


  • 端島 - 1918年にはすでに9階建ての高層住宅が建設されていた。

  • 高所平気症



外部リンク



  • 建築規制と日照問題(福島大学人間発達文化学類住居学研究室)




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