ザ・ブラックオニキス





































ザ・ブラックオニキス
ジャンル
ロールプレイングゲーム
対応機種

PC-8800シリーズ
PC-8801mkIISR
PC-9800シリーズ
PC-8001mkIISR
PC-6001mkII
FM-7シリーズ
X1シリーズ
MZ-2500


Apple II
MSXシリーズ
SC-3000/SG-1000シリーズ
ゲームボーイカラー
開発元
BPS
発売元
BPS
アスキー[PC-60][MSX]
セガ[SG]
タイトー[GBC]
人数
1人
メディア
FD[PC-88][PC-98][X1][FM][MZ]
TAPE[PC-88][X1][FM][PC-60]
ROM[MSX][GBC]
マイカード[SG]
発売日
1984年1月[PC-88]
1984年[PC-98]
1984年8月[X1]
1985年3月[FM]
1985年[PC-80]
1985年11月[PC-60][MSX]
1986年1月[MZ]
1987年3月[SG]
2001年3月2日[GBC]
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ザ・ブラックオニキス』(The Black Onyx)とは1984年1月にBPS(Bullet-Proof Software)が発売した、事実上の日本初のファンタジー・コンピュータRPGである。


当初、光栄から発売される予定だったが、光栄の社長の勧めでBPS社が設立された。発売時期が前後するが、光栄から発売された『ダンジョン』(1983年 PC8001/8801版)はこのゲームの影響によるものである[注 1]。なお1983年はファルコムから『ぱのらま島』も発売されるなど、日本におけるコンピューターRPGの黎明期であった。


コンピュータ雑誌のランキングで上位に入り、長期にわたってランキングにとどまり、アスキー社の『ログイン』のソフトウェア大賞を受賞している。




目次






  • 1 物語


  • 2 開発スタッフ


  • 3 ゲームシステム


    • 3.1 冒険の舞台




  • 4 制作秘話・続編など


    • 4.1 ザ・ファイアクリスタル(The Fire Crystal)


    • 4.2 ザ・ムーンストーン(The Moonstone)


    • 4.3 アリーナ(Arena)


    • 4.4 スーパーブラックオニキス




  • 5 ゲームブック


  • 6 その他


  • 7 脚注


    • 7.1 注釈


    • 7.2 出典




  • 8 参考文献


  • 9 関連項目





物語


古くからの伝説によれば、永遠の命と莫大な富をもたらす宝石・ブラックオニキスが呪われた街ウツロのはずれのブラックタワーにあるのだという。この宝石を求めて、多くの冒険者達が地下迷宮へと消えて行った。



開発スタッフ


当記事には関連人物やそのこぼれ話が多く掲載されているため、便宜上これをこの節でまとめて前述する。




  • ヘンク・ブラウアー・ロジャース - 作者。RPG初体験者のことを考慮してゲーム中の様々な情報を視覚化し、プレイしやすいように製作した。また開発にあたり"Out of memory"(「メモリが足りません」の意)などのエラーに悩まされ、またマシンに関する情報が十分になかったため、リバースエンジニアリングをしながら開発をしていた。

  • コンラッド・龍弥・小沢 - 副社長。一部で誤解されていることだが共同制作者ではなく、ロジャースの製作を支援しただけである。


  • 松方哲也 - シナリオライター。ゲームボーイカラー版ブラックオニキスの作者の1人。またPC-8801版などのマニュアルのイラストを描いた

  • ボブ・ラザフォード - プログラマ。


  • ハンス・ヤンセン - グラフィックデザイナー。


  • 小林孝志 - プログラマ、グラフィックデザイナー。


  • リチャード・チャールズ・ロジャース - プログラマ。

  • 坂本隆志 - プログラマ。


  • エドワード・S・P・ロジャース - ヘンクの弟。テストプレイなどを行った。


BPSでは「ムーンストーンに関わった者は会社を辞める」というジンクスがあり、坂本や小林など多くは関わった直後に辞めている。



ゲームシステム


当時はまだコンピュータRPGという概念が日本では一般的ではなかったため、システムを簡略化するために、戦闘中の攻撃手段は武器による物理攻撃のみで、魔法を使うことはできなかった。プレイヤーキャラクター(PC)が行動可能な場所は地上の街「ウツロ」と地下のダンジョンだが、地上も3D表示になっていた。プレイヤーのパーティやモンスターだけでなく、ライフ(生命力)や経験値などを横長のバーや横向きの線などで視覚的に表現し、プレイヤーが直感的に理解しやすいように作られた。


冒険するパーティは5人までで、自分でキャラクターを作るか、ゲーム内で遭遇した友好的なパーティを仲間にすることで編成する。他のパーティやモンスターと出会った時は、攻撃や逃亡の他、友好的なパーティであれば会話をすることも可能であり、仲間にする(Join us)、挨拶する(Good luck & good bye)、脅迫する(Your money or your life)の3種類が選択できる。


戦闘・会話・買物中でなければどこでもキャラクターデータをセーブできる。セーブ・ロードはパーティ単位ではなく、キャラクター単位で行われる。2人目以降のキャラクターをロードするには、セーブした場所に来なければならない。セーブしたのとは違う場所でロードしようとすると、ここには居ないとメッセージが出る。



冒険の舞台



ウツロの街

魔法使いの呪いによって、空が常に夜となっている街。善人と悪人がおり両者は対立している。善人か悪人かは服装によって見分けることができる。「虚ろ」という日本語から命名されたと誤解されていることがあるが、当時BPSがあった横浜市の菊名にあった交差点「内路(うつろ)」にちなんでつけられたものである。



商店街

ウツロの街の一角に、店や病院が集中している商店街がある。

  • WEAPONS(武器屋) - 各種の武器を売っている。距離の概念がないため、投石器や弓などの武器はない。

  • ARMOR(鎧屋) - 各種の鎧を売っている。

  • SHIELDS(盾屋) - 各種の盾を売っている。

  • HELMS(兜屋) - 各種の兜を売っている。

  • TAILOR(服屋) - 服屋だがつぶれている。機種によっては床屋に変更されており、お金を払って髪型の変更が可能である。

  • 病院

    • SURGERY(外科) - 怪我の治療ができる(街に居ても自然回復はしない)。

    • DRUGS(薬局) - 薬とその容器を買うことができる。薬は1回分が55GP(SURGERYより割高)、容器は35GPで、1つの容器に5回分まで入れることができる。

    • EXAMINATIONS(検査) - 有料でキャラクターのパラメータを調べることができる。









商店街以外の施設



  • BANK(銀行) - お金を預けたり引き出したりできる。プレイヤーキャラクターが持ち歩ける現金は15,000GPまでであり、またウツロの街には泥棒がいてプレイヤーキャラクターからお金を盗むため、ここに預けると安全である。利子はつかない。

  • 酒場など - 飲食や宿泊の概念はないため、他の冒険者と出会う場として機能する。

    • ARNOLD'S PUB(アーノルドの酒場) - ウツロの社交場になっている。

    • TOM'S(トムの飯屋) - 酒場を備えている飯屋。

    • GRUB(飯屋) - 食事どころ。

    • UTSURO INN(ウツロの宿屋) - 4部屋あり、宿泊客がいる。



  • 公共施設

    • JAIL(刑務所) - 犯罪者が囚われているが、何故か中に入ることができる。続編のザ・ファイアクリスタルでは市役所になっている。

    • ARENA(闘技場) - ここでプレイヤーキャラクターを闘わせるためにキャラクターをセーブする場所になる予定だった。

    • TEMPLE(寺院) - ザ・ファイアクリスタルの入口。

    • GATE(門) - ザ・ムーンストーンへの入口になる予定だった。







地下迷宮の入口



  • RUINS(廃墟) - 元々魔法使いの館だった。門にいるBeastが"Do not Enter!"(入るな!)と警告してくるため、中へ入るにはある場所のワープ扉を使う必要がある。

  • CEMETERY(墓場) - 元々死者を葬る場所だったが、今はモンスターに乗っ取られている。ここから入れる地下迷宮は、地下1階だけが存在し行き止まりになっている。

  • WELL(井戸) - 枯れ井戸。地下1階から5階までに通じており、そのうち2階から4階は横口がなく上下にしか移動できない。井戸の底である地下5階はRUINSから入れる迷宮に繋がっているが、強力なモンスターであるKrakenが待ち構えている。







地下迷宮

RUINSからは隠し扉を抜けると入ることができる。またCEMETERY、WELLからも入ることができる。ウツロの地下迷宮には魑魅魍魎が跋扈するのだという。地下迷宮ではまれに生命力の強いBarbarian(野蛮人)と遭遇することがあり、仲間にすると力強い味方になる。

BLACK TOWER(ブラック・タワー)

ここに伝説の宝石・ブラックオニキスが眠っていると言われている。地上には入口がなく、地下迷宮の奥底から上へ昇っていくことになる。


このゲーム最大の謎である「イロイッカイズツ」というメッセージは、地下6階のカラー迷路(この階だけ場所によって壁の色が様々になっている)で、ある順番に従って移動するとブラック・タワーに昇る階段がある部屋に入れるというものである。色の順番は機種によって異なり、パソコンのカラーコードの昇順(PC-8801版)や降順(X1版)、あるいは独自の順番(88SR専用版やFM-7版)になっている。88SR専用版では、オープニングのグラフィックにヒントが隠されている。



制作秘話・続編など



  • 初めは以下の4つのゲームをまとめて作る予定だったが、容量不足のため4つに分割され、徐々にシステムを拡張する予定だった。

  • PC-8801版はBASICと機械語で組まれている。



ザ・ブラックオニキス



  • 当初はPC-8800シリーズ用ソフトとして発売されたが、後にPC-9800シリーズ・PC-8000シリーズ・PC-6001mkII・FM-7シリーズ・X1シリーズ・MSXシリーズ(アスキー発売)・SC-3000/SG-1000シリーズ(セガ発売)・MZ-2500・Apple IIへと移植された。またNECがPC-8801mkIISRを発売すると、多少改良されたPC-8801mkIISR専用版も発売された。

  • 供給メディアはカセットテープやフロッピーディスクやロムカセット(MSXのみ)やマイカード(SC-3000/SG-1000シリーズのみ)だった。

  • 坂本、リチャード、ハンスはアイレム社と共同でアーケードゲーム版の『ブラック・オニキス・アーケード」(Black Onyx Arcade。略称はBOA)を開発していたが、アイレム側の申し入れで開発は中断し、同社が制作料を支払って問題を解決した。BOAにはアイレムの『R-TYPE』『Mr.HELIの大冒険』等と同じアーケードゲーム基板が使われ、この基板のCPUには当時のアーケード基板で主流だった68000シリーズではなくインテル8086系のV30が搭載されていた。またプレイヤーのキャラクタ・データの保存用に磁気カードを使用する予定もあった。

  • X1用はブラックタワーに黒い色を使おうとしたが、X1ではカラーコード0は黒ではなく透明だったため緑色が使用された。またPC88版と違ってインタプリタのBASICは使われず整数型BASICコンパイラが使用され、そしてモンスター遭遇時にディスク・アクセスしないためモンスターのグラフィック表示が高速だった。





ザ・ファイアクリスタル(The Fire Crystal)


  • 続編。魔法が導入された。



ザ・ムーンストーン(The Moonstone)



  • 第3弾で野外も冒険出来る仕様。ハワイ支社で製作していたが完成したものが余りにもアメリカンテイストなグラフィックだったので、日本で発売するには向いていないとの理由から作り直されることになり、何度かPC-9801で作り直されたものの、実際に発売されることはなかった。

  • 発売予定発表後、発売についての問い合わせが解散するまでBPSに寄せられた。

  • 初めはジェムワールド(Gem world)というタイトルの予定だった。ムーンストーンでは太陽と月という要素が加わり、昼と夜では登場するモンスターが異なるという設定になることになっていた。

  • 坂本や松方が関わったあるバージョンには、以下の特徴を持つものも存在した。

    • ユーザーがブラック・オニキスやファイア・クリスタルのキャラクタのデータをもう持っていないだろうとの判断から、ムーンストーンにブラックオニキスやファイア・クリスタルを入れる。

    • 最後にブラックオニキスとファイアクリスタルがプレイヤーの懐から飛び出た後、新しい世界が現れるというストーリー。



  • 松方と小林(プログラムとグラフィック)がPC-9801でアナログ16色モード用にセピア調のグラフィックで作っていたバージョンもあった。



アリーナ(Arena)


  • キャラクタを戦わせることができる闘技場。パソコン版は発売されず、ゲームボーイカラー版ブラックオニキスにおまけ機能として入れられた。


スーパーブラックオニキス



  • 1988年にファミリーコンピュータ用に『スーパーブラックオニキス』(Super Black Onyx。略称はSBO。BPS内ではBlack Onyx Nintendo(略称:BON)と呼ばれていた)が発売された。このゲームでは魔法が使えるようになっていたが、ストーリーや冒険する世界は原作とは大部分が違うものになっている。またゲームデザインに松方、プログラミングにボブ・ラザフォード、開発用グラフィック・ツールにリチャードと坂本、テストプレイにBPSスタッフ全員とBPSに出入りしていた子供などが関わった。

  • 2001年に松方などによってゲームボーイカラー用としてリメイクされ、タイトーから発売された。パソコン版ブラックオニキスと同じレガシー・モードと、アレンジ版のモードの2つのモードがあり、キャラクターを対戦できるアリーナが入れられている。売り上げはそれ程多くなかった。



その他



  • ロジャースと友人のロバート・ウッドヘッドは、ブラックオニキスシリーズのキャラクタデータを『ウィザードリィ』と相互に転送できるようにするように考え『ログイン』でそのことを発表したが、結局実現することはなかった。

  • 『週刊ファミ通』にプレイステーション用『ブラックオニキス』の発売予定が載ったが、その後消滅している。

  • フリーソフトとして、すきすきソフトの『ビーストオーブ』(Beast Orb)という作品がある。見た目はレイアウト以外は『ブラックオニキス』そのものだが、ストーリーは全く異なっている。一時は権利関係で公開を休止していた時期もあった。2013年1月以降公開サイトは休止している。





ゲームブック


  • ゲームブック『スーパー・ブラックオニキス』が存在する。タイトルはファミコン版と同じ「スーパー・ブラックオニキス」だが、パソコン版に近い内容になっている。



その他



  • 『ブラックオニキス』にはアンケート葉書きがあり、ブラックオニキスを発見すると表示されるメッセージを記入してBPS社に送ると、先着で黒メノウがもらえるサービスがあった。このことを知らずブラックオニキス発見前にアンケート葉書を送ったためにオニキスをもらえないプレイヤーも居た。またこれはヘンクなどの父親が宝石商でその影響もあった。

  • 『ザ・ブラック・オニキス』『ザ・ファイアクリスタル』『ザ・ムーンストーン』を総称して、『L&L(Legacy&Legends)シリーズ』と命名されている。これはシリーズ当初からあった名称ではなく、『ザ・ファイアクリスタル』発売後に付けられたもの。



脚注


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注釈





  1. ^ ブラックオニキスは翌1984年1月の発売とされているが、1983年12月発売とする資料もあり、実際の製品のコピーライト表記も機種によって1983年と1984年が混在している




出典





参考文献


  • 蘇るPC-8801伝説 永久保存版 、アスキー書籍編集部 (編集) 、当ゲーム収録


関連項目



  • ビーピーエス

  • ブループラネットソフトウェア

  • コーエー

  • ザ・ファイアクリスタル


  • スーパーブラックオニキス(ファミリーコンピュータ用移植ゲーム)


  • スーパー・ブラックオニキス(ゲームブック版)








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